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15 エドアルドの部屋で

last update Last Updated: 2025-11-28 20:22:08

 しばらくして、エドが戻ってくる。

 数冊の本を抱えて。

「これ。うちにある本。これはわりと事実に基づいて書かれてるから、そっちの本よりもいいと思うよ。こっちは初期の王族の伝説をユーモアを交えて紹介している本」

 エドはそう説明しながらテーブルに本を重ねていく。

「まじで? ありがとう、エド!」

 超助かる。

 そうだよなぁ。レポート書くのに本、数冊読むのが普通だよな。

 全然分かんなくって、一冊しか借りてこなかったのすっげー失態。

「たいていの貴族の家には図書室あるからな」

 と言い、彼は笑う。

「え、まじで?」

 すげーな貴族。

 あれ、うちにもあるんかな? 全然知らねえや。

「君の屋敷にはないの?」

 言われて俺は首を傾げた。

「どうなんだろ。聞いたことはないなぁ。王宮にはあるだろうけど、さすがに行きにくいし」

 正直、王宮での俺たちの立場はとっても微妙だ。

 あんまり動きまわりたくもねえんだよな。

「そうなんだ」

 そう呟いて、エドは椅子に戻る。

 お茶を口にした後、彼はこちらの様子を伺う様な顔で言った。

「あの……何か見たい本とか資料あれば、うち、けっこう本があるから……」

 そこで言葉を切りったあと、恥ずかしげに続ける。

「よかったら、うちの本、見てもらって大丈夫、だから」

 と言った。

「え、まじで? ありがとう、エド」

 すると、エドはなぜか、びくっと震えた後、目を泳がせて下を向いてしまった。

「……大丈夫?」

 不思議に思い声をかけると、エドは下を俯いたままぶるぶると首を横に振った。

「いや、大丈夫」

 そう、とても大丈夫じゃ無さげな声で言った後、ゆっくりとこちらを見た。

「お前、不思議な奴だな」

「う、え? 俺?」

 俺が不思議?

 いや、まあ確かに不思議かも。

 だってゲームの中に迷い込んじゃってるし。

 エドは頷き、

「あぁ、だって……俺にここまで関わってくる奴、珍しいし」

「お前こそそうじゃん。ぽっと出の王族で、皆扱い方がわかんなくって遠巻きにされてた俺の相手してんだから」

 絶対お互い様、だと思う。

 俺の言葉を聞いて、エドははにかんだように笑い、

「そうだな」

 と言った。

「なあエド、俺、ずっと田舎で暮らしていたからこの国のこと全然わかんなくって。だからさ、色々聞いてもいい?」

 言いながら俺は身を乗り出す。

 とにかく分かんね
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  • カンタレラ〜毒公爵の甘い愛に溺れる〜   28 お風呂のあと★

    寝室の奥にお風呂があって、いつでも入れるようになっていた。 風呂は想像以上に広かった。 大人ふたり入っても余裕のある湯船。洗い場もけっこう広い。 「やば……ひろ……」 「王宮に比べたら狭いでしょ」 言いながらエドはシャワーをひねる。 「うわぁ!」 立っていた場所が悪くって、頭の上からもろにシャワーを被ってしまい俺は声を上げた。 シャワーから逃げる俺を抱き締めたエドは、笑みを浮かべて言った。 「ごめん、大丈夫?」 「だ、だ、大丈夫」 俺もエドも裸だ。 だからエドは俺の素肌に触れているわけで、おかげで俺、すっげードキドキしてる。 エドから離れようとするけど、彼はぎゅっと俺を抱き締めたままだった。 「ねえルカ」 エドが笑ってる。 何かを企むような目をして。 「な、何」 心臓をバクバクさせながら、俺は彼に答えた。 「綺麗にしてあげるよ」 と言い、彼は俺の背中をすっと撫でた。 綺麗にする。 の意味を俺は完全に勘違いしていた。 身体を綺麗にされるだけだと思ったんだ。 でもそれだけじゃすまなくって、体の中まで現れるなんて思わなかった。 風呂から出て、バスローブをまとった俺はベッドにベッドに寝転がっていた。 風呂入ってこんなに疲れるとは思わなかった。 そんな俺の頭を愛おしそうに、エドが撫でている。 二十歳超えた大人なのに、そんなことされて悦んでいる俺がいることにちょっと驚く。 室内に漂う甘い匂い。さっきより強い気がした。 「エド」 「なに、ルカ」 「この匂い……何?」 言いながら俺はエドの顔を見る。 するとエドは頭から頬へと手をおろし、俺の頬を撫でながら言った。 「あぁ、たぶん薬だよ」 「薬?」 「ここはね、色んな薬や毒について学ぶための場所だから。俺はここで叔父から色んな薬物について学んだんだ。だからここには、たくさんの薬物が保管されているんだ」 「ま、まじで?」 驚いて、俺は思わず身体を起こす。 「それって大丈夫なやつなの?」 そう問いかける俺に、エドはおかしそうに笑って言った。 「大丈夫だよ。あのね、ルカ。毒は薬に、薬は毒に。使い方次第で変わるんだよ。危ないものは鍵がかかっている場所にしまってあるし。でも匂いが

  • カンタレラ〜毒公爵の甘い愛に溺れる〜   27 ベッドの上で(愛撫)

     そのあとも、蛇の生殺しのような愛撫を受け続け、夕食の時間までふたりで甘い時間を過ごした。 正直身体、辛い。 だって、エド、全然俺のペニスに触ってくれなかったんだもん。 出したい。 そんな言葉で頭の中、埋め尽くされているのに。 エドは愛撫の手を止めると、妖艶な笑みを浮かべて俺の頭を撫でて言った。「夜までの楽しみだよ、ルカ」「エ、エド……」 俺はすっかり、エドの手のひらの中だ。 俺は俺の意思は俺のもののはずなのに、エドに操られているように感じる。 なのに俺、嫌じゃない。 もうすぐ夕食の時間だからと身支度を整え始めた頃には、窓からさす日が、オレンジ色に変わり始めていた。 何時間俺、エドに愛撫されてたんだ? 一時間か二時間か。いや、もっと長いかもしれない。 乱れた服を整えた頃、夕食の準備ができたという知らせが来る。「わかった、すぐ行くよ」 なにごともなかったかのようにエドが言ったあと、俺たちは一緒に部屋を出て一階にある食堂へと向かった。 思ったよりも広い食堂。 六人くらいが座れそうなテーブルに、俺たちは並んで腰かける。 夕食は、ハンバーグとご飯、スープにサラダ、それにワインだった。 「お酒……」 昨日の事が頭をよぎるけど、出されたものは残しちゃいけないっていう意識が強くって、俺はワインを飲み干した。 思ったよりこれ、強いかも。なんかふわふわする。 ぼうっとしていると、隣に座るエドの声がした。「ルカ、ワインつぐね」 って言ったかと思ったら、俺が制する暇もなくワインがつがれてしまう。「あ……」「開けちゃったからね、これ、全部飲まないと」 と言って、ハーフボトルのワインを俺に見せつけた。 う…… そう言われると弱い、残すの悪いと思ってしまう中身、現代日本人な俺。 俺は、ちょっとずつワインを飲み、食事を終えた頃にはすっかり酔ってしまっていた。「大丈夫? ルカ」「うーん……」 大丈夫だと思う。でもそこまで大丈夫じゃない。 俺はルカに連れられて部屋に戻り、奥にある寝室へと連れて行かれてしまう。 ふたつ並んだ、大きなベッド。漂う、なんだか甘い匂い。 エドは俺をベッドに寝かせると、当たり前のように俺に覆いかぶさって唇を重ねた。「ん……」「……酔った姿もかわいいね、ルカ」 満足げに言い、エドは俺の服を捲り上

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